東野圭吾作品です。
帯の言葉は
「どの家でも起こりうること。
だけどそれは我が家じゃないと思っていた」
本当にその通りだと思いました。
扱われているのは、ひきこもりだとか、幼女へのいたずらとか、嫁姑戦争だとか、認知症とか、よくニュースで聞く「事件」
身近だけど、どこか遠くに感じていた事件。
(…まあ、うちは嫁姑激しかったんで、そこだけは、どこか身近に読んでしまいましたが…)
完全にやられました。
犯人は最初からわかっていて、それをいかにして加賀恭一郎氏が紐解いていくのか、というストーリー。
犯人が追いつめられ、恐れいていた選択をしてしまう歪みは予想されるものでありましたが、あくまでも「この家族の中で解決しなくてはならない」というスタンスにこだわる恭一郎氏が、いかに追い込んでいくのかは見応えがありました。
大事にしているもの…
アルバムが出てきたときは、わたしもキーパーソンもこらえました。
けど、あの杖が出てきたとき…もう号泣です。
子供は、どれだけの愛情を親から注がれてきたのだろう。
こちらはそれほど感じていないプレゼントを、どれだけ大切に思ってくれているのだろう。
自分自身を思い、やはり涙がとまらなくなりました。
老女の秘密がわかったときは、正直すこし冷めましたが…。
それは、彼女としての苦悩があまり発信されていなかったからかもしれません。
(まだ一回読んだだけですし)
そのままの方が情感はあったかも、と思いました。私は、ですけど。
ただ、何も言わず、肩を震わせている背中は、世界観を壊さずよかったです。
何も解決していませんが、
なにより「真犯人」がちゃんと更生できるのか、
なにもかもこれからですけど、
よかったね、とはとても言えない状態ですが、
だけど、恭一郎さんのお父さんとの関係は、とてもしみじみときました。
いつか自分たちも老い、それ以上に親は老いていきます。
それとどう向かい合い、なにをしてあげられるのか。
何をしてほしいのか。
しっかりと考えていかないといけないな、と思いました。
すごく心にくる、つらいくらいの作品でした。
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