2009年9月23日水曜日

バベル






並行して起こっているいくつかの話を、時間軸をずらして進行させて行っています。

一つは、羊を護るためにライフルを手に入れた、モロッコ(多分)の家族の話。
一つは、旅行先のモロッコで、そのライフルで腕を打たれた奥さんとダンナ(これがブラピ)の話。
一つは、そのダンナと奥さんの子供たちのナニーで、息子の結婚式に行くために(奥さんが撃たれて帰国できないので)メキシコまで子供たちを連れて行ったメキシコ人の不法就労者の話。
そして最後が、そのライフルの元持ち主の役所さんや、娘の菊池凛子さんがでてくる日本の聾唖女子高校生の話。

なんでしょう。
悪くはない。
だけど、良くも悪くも「生々しい」というのが素直な感想です。

日本のケースは…なんというか、あれが世界に発信されているかと思うと…ほかのケースが、深刻な社会的問題を孕んでいるだけに…いや、日本の場合も、問題はアリアリなんですが、…何より自分が日本人だからなのか、恥ずかしいな…と思いました。

あれを、ただの「欲求不満」で済ますことはできないでしょうが、本当に「問題」を切り取っただけで、曖昧なまま「終了」してしまった気がします。どれだけ空虚な心を抱いていても、彼女には父親がいて、金銭的な苦労は全くしていない。聾唖としての差別的視線を感じて、それに対する「反抗」や「同じだろ?!」という主張なのかもしれませんが、それが最終的に癒されたのかどうかもわかりません。
最後の手紙の内容がわかれば、もう少し違う感想を持ったのかもしれませんけど。


モロッコのケースは悲劇的だと思いました。泣きました。最後に男を見せた弟ですが、彼が今後どうなるのかと思うと、暗い想像しかできません。
メキシコのケースも、確かに自業自得的なものもありますが、経済格差やメキシコ人に対する差別もその根底にはあるのではないでしょうか。とてもいい感じの家族だっただけに、しつこいアメリカ警察に反感を持ってしまいます。なんというか、「ちょっとくらいいいだろう」と思う人間の弱さも根底にあるのでしょう。
ブラピのケースは、人間のエゴイズムの部分が表現されていたのだと思います。あと経済発展途上国に対する差別的思い込みも出てましたね。こちらの「生々しさ」は夫婦ということもあって、わたしは好感を持ちました。ただ、もう少しやり込んでもいいのかと思います。サムくんの事に関しての夫婦の心の機微が、あまりよくわかりませんでした。結論だけ。それが狙いなのかしら?


堅い話はやめて、やわらかーい感想を書きますと…。

菊池凛子さん…やはり女子高生は無理があったのでは!?
表情が…くらいっていうか年を感じます…。まあ、それは精神的に少し病んでる感じってことで別にいいんだけど、身体が…! 女子高生のぴちぴち感がないッス。

年といえば、ブラピがオッサンです。もうすこしカッコよくあって欲しかった…! まあ、演技派といってしまえばそれでいいのかもしれませんが、どうしても目のしたのくまがオッサンだった…。

オッサンといえば、菊池凛子(すみません、役名を全く覚えてないので)のからむ刑事…もっと若くてかっこいいのもいたんじゃないの? 少し残念。だって、女子高生がいいなーって思うのよ・・・?


あ、そうそう。
凛子ちゃんがクラブに行くシーンで、気分が悪くなる人が多いので注意ってことですが…。
確かにあれも激しい。強烈で眩しくてイライラします。
ただ、その前からずっと「イッちゃってる」感じの映像が続いているんです。
それも原因じゃないかと。わたしはそこで既にやられました。
「パールハーバー」を最前列で見てて、飛行機の映像に酔った以上に気分が悪かったです。
お気をつけて。


結論は…。
まあ、人それぞれだと思いますし、悪くはない。
ただ、日本人としては…作品の中での位置づけとしても、日本の話は必要なかったのではないかと…。
まだ浅いから理解できないだけだと思いますが。

そんな「バベル」でした。

0 件のコメント: